· 

連載⑧道場を支えてくれている皆さんへ

 道場の主役は、間違いなく道場生です。一研会は決して私一人の力で成り立っているわけではありません。道場生たちが、その屋台骨を支えてくれています。

 稽古を続けていると、いつの間にか周りを見て動いてくれる子たちが育ってきます。小さい子に声をかけてくれる子や準備や片付けを手伝ってくれる子。私が気付いていないところで後輩の面倒を見てくれる子。そして、指導の補助に入ってくれる上級者たち。そうした姿を見るたびに、「みんな成長したな」と感じます。正直なところ、私が子どもだった頃よりずっとしっかりしている子が多くて驚きます。

 もちろん、みんな最初からそうだったわけではありません。入会当初は、たいてい自分のことで精一杯です。それがいつの間にか周囲に目を向けられるようになり、自分から動けるようになる。私はそれもまた、空手を学ぶ大きな意味の一つだと思っています。

 試合で勝つことや帯が上がることはもちろん大切です。しかし、人のために動けることも同じくらい価値のある成長です。現在、普段の稽古では一部の道場生が会場の設営や撤収を手伝ってくれています。元々は常設道場だった頃に、誰かがミットの片付けなどを手伝ってくれたことから始まりました。

 その後、現在の移動道場の形になってからは、荷運びに難儀している私を見かねて、子どもたちがさらに積極的に手伝ってくれるようになりました。負担をかけるのが申し訳なくて何度も断りましたが、それでも続けてくれました。そのうち私もそんな道場生との稽古を離れたコミュニケーションが楽しくなり、そして、その役目は代替わりしながら今日に至ります。

 こうして一人では大変なことも、みんなが力を貸してくれるおかげで続けることができています。まさに「背負うた子に背負われている」という心境です。普段は気恥ずかしくてあまり口にしませんが、本当に感謝しています。

 そして後輩たちは、そんな先輩たちの姿をしっかり見ています。誰かに言われたからではなく、自分から動く。困っている人がいたら手を差し伸べる。そうした文化が少しずつ受け継がれていけば嬉しく思います。

 また、周囲をよく見て行動できる力は、空手の道場だけで役立つものではありません。そうした力は、皆さんが将来社会に出た時、むしろ空手の技術以上に皆さんを助けるでしょう。社会生活で空手の技術そのものを使う機会は無いに越したことはありません。しかし、人のために動けることや、細かいところに気付けることは、一生の財産になります。

 道場は本来、空手の技術を学ぶ場所です。しかし、その修行の過程で、人としての成長も生まれます。私は今では、こちらの方が大切だと感じることさえあります。

 これからも、見えないところで道場を支えてくれている皆さんに感謝しながら、一緒に歩んでいきたいと思います。