道場生の多くが目標にするのが黒帯です。では、黒帯とはどういうものでしょうか。
黒帯にはそれにふさわしい技術や知識が求められます。一研会では年に3回の昇級昇段審査会を行います。審査では、その帯に必要な最低限の技術や理解が身についているかを見ています。黒帯には、当然ながら審査課題の全てにおいて最高得点を求めますが、それだけでは足りないと私は考えています。
フルコンタクト空手の多くの団体では、昇段審査には十人組手という荒行があります。これは相手に勝つためのものではなく、自分自身と向き合うための試練です。苦しい時に前へ出る勇気があるか。不安な中でも挑戦する気持ちがあるか。諦めずに最後までやり抜けるか。限界まで追い込まれる連続組手では、普段の稽古ではなかなか見えないその人の本当の姿が表れます。いざという時、困難に立ち向かうのか、それとも尻尾を巻いて逃げ出すのか。
ひょっとすると、十人組手は、肉体的には人生で一番辛い体験になるかもしれません。しかし、それぞれが自分の限界を知り、持っている力を最後まで出し切り、限界を乗り越える経験は、空手の技術以上に大きな財産になるはずです。
そして黒帯はゴールではありません。本当の意味で空手を学ぶためのスタートラインです。また黒帯は未来永劫にその強さを保証するものでもありません。常に、『今、自分はこの黒帯を締めるに相応しいか?』と問い続けなければなりません。
私は黒帯を取得した道場生たちが、自信と誇りを持ちながらも、これからも学び続ける人であって欲しいと願っています。
