難しいところです。

 私は基本的には空手をするのは本人の意思だと考えています。大人なら言われなくてもそうでしょうが、ここで話すのは小さい子どものケースです。

 初めて道場に来たお子さんが稽古を一度体験をして親御さんはそれを見学、そして稽古終了後お子さんが「やってみたい」と言い、親御さんも「それなら…」というケースが一般的です。しかしいざ空手を始めてみると『ちょっと思っていたものと違う』と本人が違和感を感じるケースも良くあります。その違和感のある環境に順応できればたいして問題はありません。しかしこれには個人差があります。

 そしてお子さんが道場に行くことをぐずり出して、保護者の方が困って私に相談に来られた場合、私は保護者の方に「お子さんの意見を尊重してください」と伝えます。楽しめないことを押しつけられるのが嫌なのは、大人も子どもも同じです。空手を続けて欲しいというのは私のエゴにすぎません。

 とはいえ、保護者の方がどうしても続けさせたいという強い意志をお持ちで、渋々ながら本人も稽古を継続しているうちに、いつの間にかやる気になって、後年には立派な黒帯になっているということもよくあるので、これは判断がとても難しいです。