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毎回限界まで追い込まない。

 最近、若い頃のように身体を追い込んだトレーニングをすると疲労が抜けるのが遅くなりました。また頻繁に関節の痛みも出て、その痛みが消えるのにも時間がかかり、あまりに効率が悪いです。今までの不摂生のツケが一気に来たのかと暗澹たる思いでしたが、落ち込んでばかりもいられないのでちょっとやり方を工夫してみると、ずいぶんとその悩みは改善されました。その一つとして最近気をつけているのが『稽古のたびに身体を限界まで追い込まない』ことです。

 具体的にいうと、毎回限界ギリギリまで身体を追い込まず、軽い疲労が残るくらいでトレーニングを終了します。この時点ではやや物足りなく感じますが、この程度の疲労なら割合早く回復するので、その分トレーニングの頻度を上げることが出来ます。つまり一回のトレーニングの量を減らすことで肉体的な負担を減らし、その分トレーニング頻度を上げて一週間でのトータルのトレーニングボリュームをこれまでよりやや増やすといった感じです。

 今年に入ってこれを実行していますが、昨年ひどく悩まされたひじやひざの関節痛や腰痛、筋肉の疲労感は格段に減りました。そしてトレーニング自体にあまりストレスを感じないので毎回フレッシュな気持ちで稽古に取り組めます。

 確かに私も経験上メンタルを鍛えるには肉体を限界まで追い込むトレーニング(オールアウト)は必要と考えています。それに定期的に追い込むトレーニングを取り入れると、身体だけでなく心にも新鮮な刺激が入るので、精神的な成長を促す意味でも有効だと思います。しかし、それを継続して続けると早々にオーバーワークに陥ってしまいます。

 その点、追い込まない方法ならトレーニングの量自体は確保出来ているので、これまでより身体に負担をかけない形でのスキルアップが期待できます。

 このトレーニングボリュームを重視するやり方はウェイトトレーニングでは実践している方も多く、成果も上がっているようです。もちろん格闘技である空手は強烈なメンタルの強さが要求されるので、そのために極限まで身体をいじめることを否定しませんが、毎回のように少学生や中高生にそのメニューを課すのはそうとうな注意が必要だと思います。