鬼滅の刃を観てきました。ネタバレ注意

 注 映画「鬼滅の刃」のネタバレを含みます。ご注意ください。

 先日話題の映画『鬼滅の刃』を観てきました。平日の昼間、おまけに複数のスクリーンで上映していたので混雑もそれほどではなく、席の間隔も空いていたので安心して映画に集中出来ました。

 私がこの作品を知ったのは去年の今頃です。ハロウィンイベントで、ある男の子が見慣れないコスプレをしているのが目につきました。その子のお姉さんの黒帯が「鬼滅の刃」のコスプレだと教えてくれましたが、その内容を聞くと週刊少年ジャンプ連載作品にしてはちょっと暗いイメージだと感じました。その後、また鬼滅ファンの別の道場生が、なんと太っ腹にもコミックス全巻を貸してくれ、一気に完読しました。

 ただ、その時は、なぜここまで道場生が盛り上がっているのかよく理解出来ずにいました。アラフィフの私は「ジャンプ黄金期」といわれる『キン肉マン』や『風魔の小次郎』世代です。鬼滅の刃は私にとっては週刊少年ジャンプの系譜の中にある数多くの作品のひとつという認識でした。しかし世間の鬼滅熱は盛り上がる一方。ということで私も映画館に行ってきました。

 そして気づいたのは、この作品は「ノーブレス・オブリージュ」について描かれているということです。簡単に言えば「高貴なる義務」という意味(直訳でいえば『高貴さは義務を強制する。』※wikiで調べました)。この作品の主要人物「煉獄杏寿郎」は、常人よりはるかに強い肉体を持ってこの世に生を受けます。彼の母親は、彼がそのような身体に生まれたことの意味を「弱き人を助けるため」だと彼に説きます。人より強く生まれた以上、それが当然の責務だというのです。一見そんな宿命を背負っているようには見えないほど明るく快活な杏寿郎ですが、自分の理解者である母親を早くに亡くし、子育てを放棄した「元柱」の父親のもとで弟と肩を寄せ合いながら生きていきます。さらに彼自身も父親と同じく鬼殺隊の「柱」という存在に上り詰めますが、それは常に鬼との戦いの最前線に身を置く命懸けの日々を意味します。

 そんな彼の存在理由こそが「(強く生まれた者の)責務を全うする」ことです。そして彼は上弦の鬼との激しい戦いの中で、見事にみんなを守り抜き、その責務を果たした後、絶命します。

 映画館には文字通り老若男女、色んな方がおられました。この煉獄杏寿郎というキャラクターがこれほど日本人の琴線に触れるのは、日本人は力(肉体的な意味だけでなく、権力も含めて)を持った人こそ、正しくあって欲しいと願っているからだと思います。そして、もし自分が天賦の才を持って生まれることが出来たなら、課せられた使命と向き合い、その責務を全うしたいと心の底では望んでいるんだと思います。

 「自分を大切に」とよくいわれる現代ですが、そんな現代で自分の身を挺してでも責務を果たすという、煉獄杏寿郎のとても厳しい生き方が日本人の心に響くというのは何とも皮肉です。

 というわけで、私はこの作品をご覧になることを皆さんにお薦めします。