角を矯めて牛を殺す

指導をしていると時折道場生の悪いところばかり目につく時があります。『さっき注意したところが直っていない』『もっとこうすれば良くなるのに』等、気になり始めたら更に気になってしまい、その行き過ぎた指導のせいで、全体的なバランスを崩した道場生がスランプに陥ってしまう。良くある話です。
 人間は十人いれば十人とも違います。指導をする上で大切なことは、空手はこうあるべきと決めつけて型にはめてしまわずに、道場生の持つ本来の良さを殺さずに活かして、より伸ばすことだと思います。空手のスタイルがひとつの自己表現だとするなら、個々の道場生の良さをスポイルして型にはめたことで、その子らしさが失われてしまっては本末転倒です。
 色んなタイプの道場生がいてOK。多様性に富んだ組織は様々な変化に対応する力も強いです。この複雑な時代をサバイブ出来るのはそんな組織だと思います。