空手着が間に合わない

 今月は新規入会が続き、道場の雰囲気も一変しました。道場全体が一気に若返り、これまでとは違う仕事も増えました。その最たるものが、空手というものに初めて触れる道場生に『空手とはどういうものか』を伝える作業です。私の子供のころは空手とは「ちょっと危険な感じの人がやるもの」といったイメージで、実際に身の回りで空手をやっていたのはちょっととんがった人が多く、それを盾に周囲を威圧したりしていました。

 その後、空前の格闘技ブームがあり、昔は習いに行きたくてもなかなか近所に無かった空手道場が今ではとても身近な存在です。入会するにもかつてのように覚悟を決めて空手道場の門をくぐるといった感じではなく、気軽に見学や体験ができるシステムになっている道場が多いです。

 我が一研会もそんな感じですし、基本的にどなたでもウェルカムです。そのため、中には入会前に入念に空手について調べてこられる方もいますが、どちらかといえば保護者の方も子供さんも空手がどういうものかご存じないケースが多いです。

 だからこそ、まずは気軽に始められ、楽しく続けられる環境作りをし、そんな中にも道場ではきちんとした厳しい規律があることを知ってもらいたいと思います。そして、そう遠くないうちに稽古は決して楽しいことばかりではないことに気が付くでしょう。最初は道場内の規律の厳しさに嫌気がさすかもしれません。特に年少の道場生には、これが最初のハードルになります。そして大抵の場合、次のハードルは実際にお互いの体を撃ち合うフルコンタクト空手の組手です。ここではこれまで経験したことのない肉体的な痛みを知ることになるかもしれません。

 そんなハードルに向き合った時こそ、人が成長するチャンスであり、道場生には「辛い思いをしてでもやる価値がある」、保護者の方には「続けさせる意味がある」と考えてもらえるようにすることが指導員の初期の大切な仕事だと思います。